刑事事件 解決事例
起訴された被害額が150万円を超える業務上横領事件において、執行猶予判決をとることが出来た事例
事案の概要
被告人(依頼者)が勤務していた会社で共犯者らと共に、150万円以上の金員を横領したという事例。
なお、起訴額は150万円程度であったが、被害者らが申告した被害額は900万円程度であった。しかし、検察側は立証の難度を考慮し、確実に横領したと思しき150万円のみを起訴した。
結果
懲役1年半、執行猶予3年の判決が言い渡され、実刑判決を免れた。
解決のポイント・解決までの流れ
一般に、窃盗や横領などの財産犯は、被害額が100万円を超えると、初犯であっても実刑判決(執行猶予がつかず、実際に刑務所に行く判決のこと)となる可能性が高まる。今回の起訴額も証拠上明らかで、かつ被告人も認めていた被害額だけでも150万円を超えていたため、情状弁護を間違えると実刑判決になる可能性が充分にあった。
まず、財産犯の情状弁護において最も重要なことは被害弁償である。たとえ、被害額が大きくても、判決までに被害者との示談が完成してれば、執行猶予判決になる可能性は高まる(初犯かどうかににもよる)。
本件では被害者の主張する被害額と、起訴額に前述のように大きな開きがあったため、示談は難しいと思われた。そこで、本件では共犯者間で協力し、起訴された額全額(150万円程度)を法務局に供託した。また、共犯者間では依頼者の方が最も従属的で積極的に犯行を行った訳ではなかったことからこの点も充分に強調した。さらに、被告人の父や、執行猶予判決が出た際に被告人を預かってくれる施設の長を法廷に呼び、被告人の今後を監督してくれる人物がたくさんいることを裁判所にアピールした。
その結果、供託していること、監督者の存在が評価され、被害額は大きかったものの、執行猶予判決となり、同判決が確定した。
解決までの期間
受任から判決まで3ヶ月程度
当事者の感想・様子
今回のケースでは、今まで全く犯罪をしたことがない被告人の弁護で有り、執行猶予判決の獲得が至上命題であったが、望んだ結果がでたため、親族の方も含め満足して頂けた様だった。
担当弁護士からのメッセージ(担当 松﨑広太郎)
今回のケースのように、被害額の大きな場合には、初犯であっても被害弁償などの対応を間違えると実刑判決になることが充分にありえます。
このような場合には、弁護人が素早く対応し、すぐに被害弁償などを行う必要があります。刑事事件の判決は逮捕からおおよそ3ヶ月以内には言い渡されるため、この時までに被害弁償をしておかないと裁判所から評価されないのです。
もちろん、国選弁護人でも被害弁償の努力は行いますが、迅速に対応できるかどうかは各弁護士の繁忙状況によります。当事務所は現在9名の弁護士が勤務しており、時間との勝負である刑事弁護の中で、いつご依頼頂いても、複数人体制を組むなどして迅速な対応が可能です。刑事事件についても是非ご相談ください。