ニュースレター
ニュースレター KabashimaLawJournal 2015年8月発行 Vol.3
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企業のための債権回収
1.とある企業からの相談
Q 当社は、電化製品の卸売業を行っておりますが、取引先の売掛金の支払いがしばしば遅れています。当社としては、このまま取引を続けたいと考えていますが、どのようなことに注意すべきでしょうか。
2.はじめに
会社・事業者にとって、取引先の支払の遅滞は、時期と額によっては、経営に甚大な打撃を与えます。このような事態に備えて、会社はどのようなことが出来るのでしょうか。今回は、掛売りを行う場合に出来るだけ取り入れたい事項について説明します。
3.取引基本条項に入れておくべき事項
継続的に同一の業者と売買契約を行う卸売業の会社・事業者は、取引の相手方と取引基本契約を締結しておく方法があります。そこで、以下のような条項のある取引基本契約を締結することをお勧めします。
1.期限の利益喪失条項
掛売つまり商品代金が後払いになっている状態(これを「期限の利益」といいます)のままだと迅速な回収行為が出来ません。そこで、支払いを遅滞した場合等の一定の場合に、即時に売掛金を請求できるようにするための条項です。
同様の理由で、一定の場合に契約を解除出来る条項を入れておくとよいでしょう。
2.所有権留保条項
一般的には、商品を取引先(買主)に引き渡したときに商品の所有権は取引先(買主)に移転します。これを取引基本契約によって、代金支払完了時まで所有権が移転しないようにします。これにより、取引先が売掛金を支払えなかった場合に商品を引き上げることが容易に行えます。
3.保証人をつけること
会社や事業者が破産してしまった場合は、売掛金の回収が困難になります。このような場合に備えて、保証人をつけてもらうことも検討してください。保証人は、家計が異なる人物をつけてもらった方が、回収率は上がります。
4.取引先の支払が止まったら】
【1.取引先が事業を継続しているのか】
支払いが止まったとしても、取引先が事業を継続している場合は、掛売をやめて、現金取引を行い、事業を続けてもらい、分割で回収を図る選択肢もあります。この場合は、よくよく取引先の財務状況を調べる必要があります。
これは、取引先とのコミュニケーションなど、普段からの情報収集がものをいうので、普段から担当者が取引先の事業内容や他の取引先の情報を収集しておく必要があります。
【2.速やかなる担保権の実行】
取引先の事業継続が難しそうな場合は、取引先の財産が流出する前に速やかに担保権を実行する必要があります。特に所有権留保や動産売買先取特権については、対象となっている動産が売却されてしまうと権利行使が困難になりますので、迅速性が要求されます。
【3.その他】
その他にも、担保権の物上代位、仮差押など様々な回収方法が考えられます。個別の事情によるのですが、早くご相談をいただければ、その分多様な方法が選択できます。
5.終わりに
売掛金の回収は、支払い停止がある前に対策しておくことや、支払い停止後速やかに回収した方が成功率が上がります。
当事務所では、企業様からの多数の相談をお受けしておりますので、ノウハウも豊富です。
是非早めの相談をお勧めします。
日商保険コンサルティング株式会社橋本常務インタビュー
1.会社の設立経緯について
竹田
日商保険という会社の設立の経緯を教えてください。
橋本常務
弊社のルーツは、同じく通町にある親戚の(名)塚本醤油本店にあります。
100年以上前のことですが、当時はパソコンもFAXもない時代でしたから、保険の開始時期を誤魔化すことも可能です。そのため信頼できるところでなければ、保険会社は代理店契約を結びませんでした。塚本醤油本店が保険の代理店として先に存在しており、1920年、塚本醤油本店から弊社の創業者である橋本安次郎が代理店の資格を譲り受けたのが弊社の始まりです。
竹田
日商保険のシンボルマークにはどのような意味があるのでしょうか。
橋本常務
日商保険のシンボルマークは「纏(まとい)」を元にしています。纏とは、江戸消防のシンボルであり、「め組」に代表される「火消(ひけし)」が使用していました。
江戸の町は長屋造が主流であり、長屋で火事が起きた際、どうするかと言えば、消防車がありませんので、燃えている長屋の両隣を破壊して消火していたのです。
その際、火消たちが「ここで火を消し止める」と決めた風下の屋根の上に、組で一番威勢のよい者が登り、纏を振り立てて仲間の士気を鼓舞し、また火消達は纏とそれを振り立てる仲間を燃やさないために懸命に建物を壊して火を消し止めました。
ですから、弊社の纏のシンボルマークには、「(火から)お客様を守る」という決意が込められています。日商保険は創業当時から火災保険を多く扱っていましたので、このマークを使うようになったのです。
2.現在の事業展開について
竹田
現在、どのような事業を展開されているか教えて下さい。
橋本常務
主に中小・中堅企業向けの保険サービスです。「御社のリスク管理部でありたい」という言葉にも表れているのですが、お客様の立場で総合的なリスク管理をさせていただくことを重視しています。
弊社ではこれをTRM(トータル・リスク・マネジメント)としてお客様にとって分かりやすい仕事を心がけています。現在、直販の保険が増えてきていますが、保険という仕組みは、お客様(被保険者)と保険会社(保険者)がいれば成り立ちます。そのなかで保険代理店の役割を考えたとき、それは「情報提供」と「事故対応」にあります。
保険の営業をして欲しいと考えているお客様はいませんが、保険やリスクについて知りたいと考えているお客様は多く、情報提供によってお役立ちをすることは弊社の大切な仕事です。類似の保険でも保険会社によって内容が異なることをお伝えしたり、相見積りによる適正価格の情報提供、法制度の新設や変更によるリスクの情報提供、トラブルが起きたときに弁護士などの専門家をご紹介することも情報提供の一つです。次に「事故対応」についてですが、簡易な事故はスピードを重視して保険会社に任せることがあるものの、判断が難しい事故対応は、保険会社の視点ではなく、私たちがお客様の立場になって、最後までしっかりと解決に向けたサポートをしています。
3.当事務所との関わりについて
竹田
かばしま法律事務所には、どのような内容のご相談をされますか。
橋本常務
当社の相談というより、お客様のトラブルを相談させていただくことが多いですね。債権回収であったり、不動産に関する問題であったり、これも、先ほどお話しした、お客様への情報提供の一環としてさせていただいております。
竹田
当事務所で印象的だったことがあればお教え下さい。
橋本常務
若い弁護士の先生が多く、親身に相談し やすい雰囲気でした。他方で豊富な経験は椛島先生がお持ちでしょうから、バランスがとれているように思います。
竹田
今後、さらにかばしま法律事務所に期待したいことがあればお教え下さい。
橋本常務
相談しやすい法律事務所であってほしいですね。久留米に根ざしたサービスを目指していただけたら、私どもとしましても非常に嬉しいです。
竹田
本日は、お忙しい中でインタビューに応じて頂き、本当にありがとうございました。
編集後記
まだ創刊して間もない当事務所のニュースレターですが、今回はいかがだったでしょうか。
今回、日商保険の橋本常務のご協力を得て、インタビュー記事を掲載させて頂きました。
日頃お仕事で接する機会はあるものの、各企業様の歴史や設立経緯などは知らないことも多く、私達も取材する中で驚かされることが多々あるとともに、一緒にお仕事をすることがさらに楽しみになりました。
今後も、当事務所のニュースレターは皆様にお役立ちする情報を届けていきます。これまでは不定期発行でしたが、今後は偶数月に発行していきますので、楽しみにして下さい。それでは、暑さに負けず、一緒にこの厳しい夏を乗り越えましょう!