ニュースレター
ニュースレター KabashimaLawJournal 2017年12月発行 Vol.14
裁判員裁判について
■ はじめに
皆さんは裁判員裁判をご存知でしょうか。言葉は聞いたことがあっても、実際にはどういうものかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、国民の誰もが裁判員として選ばれる可能性がある裁判員裁判についてご紹介したいと思います。
■ 裁判員制度とは
裁判員制度は、平成21年5月21日に始まった制度であり、施行から約8年半が経過しました。この間に全国で約12000件の裁判員裁判が開かれました。
裁判員は、法廷で行われる審理に裁判官と一緒に立ち会い、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合には、どのような刑にするかを判断します。
平成26年のデータではありますが、裁判員に選ばれる確率は、約10800人に1人(=約0.01%)となっていますので、当たる確率は高くなく、裁判員に選ばれた方はよく宝くじを買おうかなとおっしゃっています(笑)。
裁判員の1日のスケジュールは、概ね朝9時30分頃に裁判所に集合して12時まで審理や評議、1時間程度の昼休憩後に、最大で17時頃まで再度審理や評議を行うという流れです。審理や評議の際も1時間に1回は休憩を入れて、集中力が途切れないよう配慮されています。
裁判員として裁判手続きに参加しますと、交通費はもちろんのこと、1日あたり1万円以下の日当が審理等の時間に応じて支払われます。
■ 従業員が裁判員に選ばれたら?
これをお読みの皆さん自身が裁判員に選ばれる可能性はもちろんありますが、皆さんの企業の従業員の方が裁判員候補者になる可能性も十分あります。
従業員の方が裁判員に選ばれた場合に、裁判員の仕事に必要な休みを取ることは法律で認められていますので(労働基準法7条)、裁判員としての仕事をするために企業を休んだ従業員に不利益な扱いをすることは法律上許されません。
なお、裁判員として従事している期間の職場の休みを有給にするか無給にするかについては、各企業の判断に委ねられています。
もっとも、どうしてもお仕事の都合で裁判員として裁判に参加する余裕がないこともあると思います。その場合には裁判所に仕事を理由とする辞退の申し出が可能であり、そのような申し出があると、裁判所は、①裁判員として職務に従事する期間、②事業所の規模、③担当職務についての代替性、④予定されている仕事の日時の変更可能性などを考慮して、辞退を認めるかどうかを判断します。
■ 裁判員の実際
皆さんの中には、裁判員裁判なんて面倒くさい、行きたくないと思われる方もいらっしゃるかと思います。実は裁判員に実際に選ばれた人に対して、裁判所がとったアンケートでも、「あまりやりたくなかった」、「やりたくなかった」と回答した人の合計が49.3%でした。約半数の人が積極的にやりたいとは思ってなかったということですね。ただ、裁判が実際に終わってみると、「非常によい経験と感じた」、「よい経験と感じた」と回答した人の合計は95.9%となっており、かなりの人が充実感を持って裁判員を務められたことが伺えます。
皆さんがもし今後裁判員に選ばれたら、0.01%にあたってむしろラッキーというぐらいのお気持ちで是非参加されてみてはいかがでしょうか。
紙面の都合上かなり省いたところありますので、この記事を読んで裁判員裁判に少しでも興味が湧いたら、裁判所や法務省のホームページを一度ご覧になってみて下さい。かなり詳細に裁判員裁判のことが書かれていますので、疑問点などは全部解消できると思います。
お客様感謝祭のご報告
■ はじめに
平成29年11月17日に、久留米の翠香園ホテルにおいて、かばしま法律事務所お客様感謝祭を開催致しました。この催しを行うのは今年で3回目となりますが、日頃お世話になっているお客様に、感謝の気持ちをお伝えするため、実施させていただいております。今回は、総勢79名のお客様にお越し頂くことが出来ました。
17時から講演会、18時20分から懇親会というスケジュールで執り行わせていただきました。
■ 講演会の講師
今回の感謝祭でも、まず講演会を執り行わせていただきました。講師を引き受けて下さったのは、株式会社尾形養鯉場の尾形学社長です。
尾形学社長の経歴、下積時代等、簡単なプロフィールについては、第13号のニュースレターにてご紹介させていただきました通りです。今回の講演会では、そこで紹介させていただいた内容よりも深く具体的なお話をしていただきましたので、簡単ではございますが講演内容についてご報告させていただきます。
■ ご講演の内容
尾形養鯉場は、現在取引の実に9割以上を海外と行っていますが、そこに至るまでには、様々な苦難があったそうです。
尾形社長は独立をして両親と共に久留米で養鯉業を始めてからしばらくは、親しくしていた山口県の鯉屋や、国内の愛好家に向けて鯉を販売していました。尾形社長が養殖した鯉(紅舞妓)が全日本錦鯉の品評会でグランドチャンピオンに選ばれてから、卸売業者から声がかかり、国内での取引先は増えましたが、まだ海外との取引は多くはありませんでした。
そんなとき、尾形社長が久留米市善導寺に作っていた西日本淡水魚センターが、台風により壊滅的な被害を被りました。同センターの再建費用が高額に及ぶ見込みであったこと、当時の時代の流れからして今後は鯉の市場や需要が日本国内で拡大することがあまり期待できないと考えたことから、尾形社長は思いきって同センターは廃業させ、海外との取引を開始することを決めたのでした。
片言の英語しか話せない中、尾形社長は取引相手に英語を教えてもらいながら、「なんとかなる」という前向きな心構えで事業の展開を進めていかれたそうです。その後、鯉の池揚げの作業中の、ほんの一瞬の不注意で、鯉を大量に死なせてしまい、たった数分の間に数千万円に及ぶ損害を負って頭が真っ白になったりするなど、生き物を相手に商売をすることの難しさを思い知られたそうです。それでも、「失敗を恐れない」「昨年と同じことはしない」との思いを胸に、世界を相手に挑戦を続けられました。
その結果、大成功を収められ、アメリカや香港、ヨーロッパなどに代理店を構え、世界に事業を展開し、従業員数14名でありながら年商3億5000万円の会社を築くに至られたことは、皆さんご存知の通りです。
尾形社長の、ピンチをチャンスに変えた思い切った行動力や、その仕事への信念は、業種の垣根を越え、働く人すべてのお手本となるものであり、皆様真剣に聞いておられました。
■ 懇親会
講演会の後は、会場を移し、懇親会を開催させていただきました。懇親会では、集合写真の撮影、長期間顧問契約締結企業様の表彰、豪華賞品が当たる抽選会、提携士業様のご紹介、当事務所所属弁護士一人一人からの挨拶、お客様の発展を願う万歳三唱を行わせていただきました。
表彰では、当事務所と27年以上も顧問契約を締結して頂いております大和ハウス工業株式会社様に、こちらも顧問契約をいただいておりますニシヨリ株式会社様のご協賛により、感謝の気持ちをお伝えすることが出来ました。
■ 抽選会
今年からの新たな試みとして、抽選会を実施させて頂きました。顧問契約をいただいている会社様から賞品をご準備させていただき、くじを引いて当選された方19名に賞品をお渡しさせていただきました。参加賞の大砲様のラーメンも含めると、ご出席頂いた皆様全員に、賞品をお渡しすることが出来ました。
顧問先の会社の皆様同士でも、親交を深めるきっかけとなりましたら幸いです。
■ お礼およびご挨拶
ご出席頂きました皆様、改めましてありがとうございました。少しでも皆様への感謝の気持ちが伝わったのであれば幸いに思います。弁護士一同、皆様と事件のことだけでなく何気ない会話で歓談することができ、大変うれしく思いました。
今回都合が合わず出席頂けなかった皆様、来年もお客様感謝祭を開催させて頂く予定にしておりますので、是非ともご参加下さい。
あっという間に本年も終わりを迎えようとしておりますが、どうか皆様、2018年も、変わらぬお付き合いをさせていただきたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
弁護士雑記(中央ヨーロッパ訪問記):弁護士 竹田 寛
■ はじめに
平成29年3月に,人生で初めてヨーロッパに行ってきました。訪問した国は,ハンガリー,スロバキア,オーストリア,チェコです。
なかなか触れることが少ない異国の文化でしたので,簡単にではございますが,皆様にご報告したいと思います。今回は,ハンガリーについてです。
■ ハンガリーについて
訪問をした都市は,ハンガリーの首都ブダペストです。ブダペストの人口は,180万人弱(ヨーロッパの都市としては,大都市なのだそうです)。
実は,ハンガリーはユーロを導入しておらず,フォリントという通貨を用います(ちなみに,チェコもユーロを導入しておりませんでした)。
とはいっても,事実上,ユーロは流通しており,レストランでは,ユーロの方が通貨の信用性があると考えているためか,「ユーロで支払って欲しい。」と言われました。
■ 聖イシュトヴァーン大聖堂
写真に写っているのは,聖イシュトヴァーン大聖堂。ハンガリー王国を建国したイシュトヴァーン1世の名前にちなんで,つけられた名称です。中世のハンガリーは,ヨーロッパの強国で,国土は今の3倍以上ありました
聖堂の中にはいると,天井の高さに驚きました。キリスト教に関する絵も描かれており,完成するのに,相当な時間を要したことが窺えます。
■ 国会議事堂
光り輝くこの建物は,ハンガリーの国会議事堂です。 荘厳な印象を受けますね。完成したのは1904年。オーストリア帝国からやっとの思いで自治権を獲得したことを受けて,「自治のシンボルとなるような国会議事堂を建設する」というコンセプトのもと、作られたものです。手前を流れる川は, 有名なドナウ川です。
■ ハンガリー動乱について
次の写真は,ハンガリー動乱のメモリアムを撮影したものです。ハンガリー動乱とは,当時ハンガリーを支配していたソ連に対して, ハンガリー市民が蜂起して,多数の死傷者が出た事件です。小さくて確認できないですが「1956.10.25」と入口に書かれています。これは,1956年10月25日に, ソ連軍とハンガリーの民衆が衝突して,血の海になったことを表すもの, とのことです。
■最後に
現在に至るまでの,ハンガリーの壮大な歴史に,ほんの少しだけ触れることができ,見聞を広げることが出来ました。
今後は,スロバキア,オーストリア,チェコに関しても,適宜ニュースレターにて報告していきたいと思います。
あっという間に、今年も終わりを迎えました。本号が2017年最後のニュースレターとなります。次号を編集している頃には年も明け、寒さも一段と厳しくなっているのだろうな、と思うと季節の移り変わりの早さに改めてびっくりするばかりです。漫然と季節が移り変わるのを見届けるのではなく、我々弁護士たちもしっかりと研鑽を積んで成長していかなければな、と気持ちを新たにしております。
来年も、このニュースレターを通じ、皆様に法律や当事務所のことをご紹介させて頂きますので、引き続き宜しくお願いいたします。それでは、よいお年を。