弁護士コラム

【民法改正】契約不適合責任について

 

こんにちは。弁護士の田中久仁彦です。

 

今回は、債権法改正(令和2年4月1日施行)の重要ポイントのうち、契約不適合責任について解説させていただきます。

Q 契約不適合責任とは一体どのような責任なのでしょうか?

A 契約不適合責任とは、売買契約を例にとれば、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」に生じる、売主の責任です。なお、請負契約など、ほかの有償契約にも適用されます。

 

Q これまでの民法と、何が変わったのですか?

A これまでの民法では、「隠れた瑕疵」という概念が用いられており、瑕疵担保責任という法律用語がございました。ただ、ここでいう「瑕疵」とは、要するに契約で決められた品質や性能を備えていないことを意味しますので、実質的な変更ではありません。

 

Q 契約不適合があった場合、何を請求することができるのですか?

A 目的物に契約不適合があった場合、買主は売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡し(これらを履行の追完といいます)を請求することができます。もっとも、契約不適合が買主の責任によって生じたものである場合には、これらの請求をすることはできません。

 

Q 契約不適合があった場合に、代金の減額を求めることはできないのですか?

A 売主に対して履行の追完の催告をしたにもかかわらず、追完がされない場合には不適合の程度に応じて代金減額請求をすることが可能です。また、追完が不可能であるときや追完を拒絶する意思を明確に表示しているときなどは、追完の催告をすることなく代金減額請求をすることが可能です。

 

Q 契約不適合があった場合に、損害賠償請求や契約の解除はできないのですか?

A 契約不適合は債務不履行の一種でもありますから、債務不履行を理由に損害賠償請求や契約の解除をすることも可能です。

 

Q 契約不適合を理由とする請求に期間制限はありますか?

A 売買契約の場合であれば、買主が契約不適合を知った時から1年以内に売主に不適合がある旨を通知しないと、追完の請求や代金減額請求をすることはできません。この通知を行ったとしても、不適合を知ったときから5年、引渡しを受けた時から10年で消滅時効にかかりますので、注意が必要です。

 

Q 契約書で、契約不適合責任を負わない旨の条項を設けることはできますか?

A 可能です。ただし、その場合でも、売主が知りながら告げなかった事実については、責任を免れることはできません。

 

 

以上、契約不適合責任について、簡単に解説いたしました。具体的にどのような改正がされたのかもっと詳しく知りたい、法改正の内容に沿った契約書への改訂を行いたい、契約不適合責任について当事者間で争いが生じているので解決したいなどのご要望がございましたら、お気軽に当事務所までご相談くださいませ。

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