弁護士コラム

公立学校の教師の労働時間について

 

最近、教師の長時間労働を問題視する報道を見かけます。

教員の長時間労働の背景には、教員が担う業務や役割が大きくなるとともに、教職員の人員不足といった事情があるようです。

また、部活動の顧問としての活動も、実際には自主的、自発的に担当しているわけではなく、やむなく担当させられているという実態も指摘されているところです。

 

 

長時間労働が行われているのであれば、先生方はそれなりの残業代をもらっているのだろうと思われるかもしれません。

しかしながら、特に公立学校の教師については、そうとは言いがたい事情があります。

教員の労働時間について考えるとき、公立学校の場合と、私立学校の場合とで分けて考える必要があります

 

まず、私立学校の教職員については、通常の労働者と同様に、時間外・休日労働を命じるためには36協定を結ぶ必要がありますし、時間外・休日労働に対しては割増賃金を支払う必要があります。(実際に適切な割増賃金が支払われているかどうかは別問題ですが、少なくとも理論上は時間外・休日労働に対しては割増賃金を支払わなければなりません)

他方で、公立学校の教職員については、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(通常、「給特法」といいます)により、月額給与の4%に相当する教職調整額を支給することによって、時間外・休日労働について割増賃金を支払うよう定めた労働基準法37条の適用が排除されることになっています。

 

この4%という数字は、昭和46年の給特法の成立にあたり、教員が週に1,2時間程度の時間外労働を行っているという勤務実態調査に基づいて算出されたものです。

しかしながら、現在は、教員が現実に担っている業務はかなり増大しており、4%の調整額では到底割に合わないという実態もあるという指摘がなされているところです。

 

私自身も公立学校で小中高過ごしていく中で、先生の業務の大変さを子供の立場ながら感じていたように記憶しています。

教師の長時間労働の問題は、これからも議論されていくのでしょうが、教師がより良い労働環境になることは、学校生活を営む子供たちにとってもプラスに働く側面はあると思います。

学校が、生徒にとっても教師にとっても過ごしやすい場所になればいいなと考える次第です。

 

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