弁護士コラム
遺産を使い込んだ場合の対応について②
亡くなった方の財産が、実は使い込まれていたということは、相続手続において決して珍しいことではありません。特に多いのは、預貯金の使い込みです。
前回は、死亡後に使い込んだケースについて検討しましたが、今回は死亡する前に使い込んだケースを検討してみます。
【死亡前に遺産が使い込まれた場合】
死亡の前に、遺産となるはずの財産(特に預貯金)が使い混まれるというケースの場合には、改正された相続法の影響を受けることはありません。
それでは、どのようにして対応をするのかというと、この使い込まれた部分については、生前に相続の対象となった方=被相続人が、使い混んだ人物に対して、不当利得返還請求権、あるいは不法行為に基づく損害賠償請求権を有することになります。
相続人は、この不当利得返還請求権や不法行為に基づく損害賠償請求権を、それぞれの相続割合に応じて、取得することになります。
ただし、上記は、引き出しに被相続人が同意していなかった場合の対応です。
もし引き出しに同意していたとすれば、それは不当利得や不法行為にはなりません。
ただし、特別受益には該当しますので、この場合には遺産分割の仲で特別受益の存在を否定することになります。