弁護士コラム
改正相続法(ライフラインの設備設置について)
【電気、ガス、水道などのライフラインの設備が他人の土地を通る場合について】
1.これまで(令和5年4月1日より前)
電気、ガス、水道や、電話・インターネットの通信を利用する場合に、どうしても隣人といった他人の土地にこれらのライフラインを利用するための供給管等を通さざるを得ないという場合がありえます。
この場合に、他人の土地を利用できるか、利用する場合に金銭を支払う必要があるのか、ルールが明確には定まっていませんでした。
2.令和5年4月1日以降
そこで、今回の法改正で、下記のとおり定められました。
(1)設備設置権(他の土地にライフラインの設備を設置する権利)の明確化
他の土地に設備を設置しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(※「その他これらの類する継続的給付」には、電話・インターネット等の電気通信も含まれます)を受けることができない土地の所有者は、必要な範囲内で、他の土地に設備を設置する権利を有することが明確に定められました(新民法213の2Ⅰ )。
(2)設備使用権(他人が所有するライフラインの設備を使用する権利)の明確化
次に、他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を引き込むことができない土地の所有者は、必要な範囲内で、他人の所有する設備を使用する権利を有することも明文化されました(新民法213の2Ⅰ)。
(3)場所・方法の限定
ただし、ライフラインの設備の設置・使用の場所・方法は、他の土地及び他人の設備のために損害が最も少ないものに限定されることも明文化されました(新民法213の2Ⅱ ) 。
3.今回の法改正による影響
上記のような法改正がありましたので、今後、これらのライフラインの設備の設置や、その使用を拒まれた場合には、裁判所で、妨害禁止の判決を求めることになります。
以上